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Monday, January 26, 2009

詰まった悲しみ

優子
通勤途中って、よく優子が出てくるんだ。何も考えずにボケっとしているとね。
行きは多摩サイ。気温は低かったけど風は穏やかで気持ち良かったよ。冬のやわらかい日差しが川の水面に反射してキラキラ光っている。川越しに富士山もくっきり見えたし。
優子も風になって来てくれていたんだよねえ。
でも、あまりうまく交信できなかったよ。
僕の心の中に満たされている優子は、ウジウジしていて外に出ていかないんだ。
いつもの恥ずかしがり屋の優子みたいに、はっきりその姿を表わさず、同じところをぐるぐる回っている。
僕としては、気持ち良い風となって、チャリを漕ぐ僕と並走して吹いてほしいんだけどねえ。
心の中に詰まってしまっているよ。

帰りは、大学から四谷までチャリを折りたたんで電車で輪行。夜の仕事を終えて、そこから品川⇒優子ロードを通って帰宅だ。
電車でうとうとしていると、あの場面が繰り返し出てくるんだよね。
スキー場で、優子が倒れ、何も感じず必死に人工呼吸と心臓マッサージをやっていた、あのシーンを。
それを思い出すことを自分自身に禁じてはいないので、フラッシュバックではない。別に記憶が出てきてもパニックにはならないのだけど、隙あればジワジワと記憶が恐怖と後悔とともに心に浸み出してきてくる。思わず、電車の中でノートを取り出して、このことを書き留めたんだよ。そうしないと、苦しくて耐えられない。

今日は、銀行やクレジット会社、生協なんかに連絡して、優子の口座を止めてもらった。
電話越しに、「妻は死にました」って、いちいち言わなくちゃならない。
辛く、悲しい作業だよ。
保険金をもらったって、嬉しくもなんともない。

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