Send your message to lettertoyuko@gmail.com


Tuesday, September 27, 2016

おばあちゃんの世界と生きがい

おばあちゃんは、もういつおさらばしても良いのよ。
おばあちゃんのエンディングを考えてるの。
私、たくさん宝石があるのよ。それをどう分けるか。
おじいちゃんからもらった婚約指輪は優子さんにあげるつもりだったんだけど、どうしようかな。
Tikiや優子さんにもらったのは、そのままあげるけど。
あと、誰からもらったのかよくわからないのもあるのよ。

先日、おばちゃんが来た時に、二人で宝石箱の中身を点検したんだって。
これが、ばあちゃんの世界だよ。
家庭を作り、子どもを産み育て、夫を見送るという大切な役目をちゃんと果たした今、もういつおさらばしても良いというのは、よくわかるよ。それで良いんだよね。
おばあちゃんにとって大切なものは、社会的な役割とかではない。家族と、おばあちゃんの財産=宝石なんだ。不動産とか貯金もあるけど、おばあちゃん自身が管理していないから視野にない。小さな、小さな世界。それで良いんだよ。

じいちゃんは自分史や年表みたいなの何度も書いてたでしょ。それがじいちゃんの世界なんだ。自分が社会と家族の中に築いてきた世界を確認したいんだ。ものとしては多少の著作くらいで、土地もお金も大したものは残っていない。やっぱ人だろうね。

パパ自身の世界って何かね?
パパはもうボチボチ自分の世界を創り上げて、外から眺めて確認してもいい年齢に来ているんだけどね。その世界はまだなんとなく完成していなくて、手を離せないでいるって感じかな。
ママが死んじゃって、パパの世界が、がらりと変わったし。この先また変わらないとは限らない。
リタイアすればもう固定するんだろうけど、パパはまだリタイアしてないんだ。仕事的にも自分史的にも。まだこの先変わるかもしれないし。現役でいたい。

------------------

ばあちゃんはじいちゃんと一緒に近所の囲碁クラブ通っていたけど、じいちゃんが亡くなって行かなくなっていた。でも最近、週2回ほど以前と同じペースで出かけるようになった。

久しぶりに囲碁に行ったら4勝したのよ。でも家を空けている間に、宅急便のご不在連絡票が入ってると、罰を言われたみたいで。。。

ご不在票が入っていたって、全然問題ないんだからね。
そんなの気にしないで、外に出て良いんだよ。

フゥ〜ん!!

そう言っても、納得できていない。
そう、郵便を受け取り、家の出入りをちゃんと把握していることが、おばあちゃんに残された大切な役割だからね。

------------------

ばあちゃんはATMを使うのもじいちゃんが亡くなってから。
それまではじいちゃんがお金の管理をしていたみたいなんだ。

今日、郵貯のATMで5万円おろしたんだけど。
お金、出すだけじゃなくて、また自然に入ってくるんでしょ?

そうだよ。通帳みれば確認できるんだけど、わかる?

ひととおり通帳を眺めて、

これで良いんでしょ?

そういうの、自分で確認できる?

わかんない。

自分で判断できない。別に認知が始まったわけではなく、ばあちゃんはそういう習慣がなかったんだ。

おばあちゃん、大丈夫だよ。おばあちゃんが長年おじいちゃんに尽くしてきたから、ご褒美で、ばあちゃんが死ぬまで、じいちゃんの年金が自然に入ってくるから、大丈夫だよ。

そうなの?
ありがとう。

おばあちゃんは、田舎の割と裕福な旧家で育ち、お見合いで結婚して、専業主婦として働いた経験はなく、決してリッチではなく、でも決して貧乏ではない公務員のおじいちゃんの給料が自然に入ってきていたんだ。守られてきた世界。
そう、お金は自然に入ってくるもんなんだ。
おばあちゃんの世界はそれで良いんだよ。

Monday, September 26, 2016

どうしてこんなに悲しいんだろう


悲しいだろうみんな同じさ。同じ夜を迎えてる
風の中をひとり歩けば、枯れ葉が肩でささやくよ
どうしでだろうこのむなしさは。誰かに逢えば鎮まるかい?
こうして空を見上げていると、生きていることさえむなしいよ
 
これが自由というものかしら。自由になると淋しいのかい
やっと一人になれたからって、涙が出たんじゃ困るのさ
やっぱり僕は人にもまれて、皆の中で生きるのさ
 
人の心は温かいのさ。明日はもう一度ふれたいな
独り言です、気に留めないで。時にはこんなに思うけど
明日になるといつもの様に心を閉ざしている僕さ
(曲・歌:吉田拓郎、1971)

これは高校の頃、自分の部屋で、フォークギターでおそらく一番良く歌っていた曲だ。
当時の心境をよく言い当てていた。
親からの自立心が芽生え、「自由」な自分を見出していた。
すると寂しくなる。孤独が見えてくる。いくら家庭や学校に信頼できる人で満たされていても、孤独を感じることを、むしろ求めていた。
Sexualityの芽生えだったんだろう。

優子と結婚してからは孤独が消滅した。優子と子どもたちと仕事で僕の日常生活は満たされた。というか、満たされ過ぎた。普段の日常は自由や孤独を感じる隙間もないほど、幸せを感じる暇もないほど、幸せだった(と思う)。
寂しいどころか、その対極のウザい。
時々、出張やゴルフに出かけてふぅとひと息、束の間の独り自由を味わい、家に遅く帰って優子におこられていた。

そして今、思春期に逆戻りだ。
この曲が心情にフィットする。
子ども達が自立して親元から離れ、私の安全弁であった親は老いて、亡くなり。
多忙な仕事も手放し。
何より優子が一番先に去っていったから。

それでも人は周りにたくさんいる。寂しくなんかないはずなんだけど、それでも寂しい。

強がりを言えば、
それで良いんだよ。寂しくて良いんだ。
どうせ死ぬ時はひとり寂しいんだし。
一定の寂しさをあらかじめ保持しておいた方が人に優しくなれる。
前みたいに日常が幸せで忙しくなってしまうと、周りを押し退けてそこから飛び出したくなる。まだパズルのピースみたいにハマりたくはない。

人を求めようとすればするほど、寂しくなる。
それで良いんだよ。
若い頃は、寂しさが原動力となった。
今もそうかもしれない。

お腹が空くと辛いけど、食べ物にありついた時に、とても美味しくなる。
飽食しちゃうと、美味しくなくなるし、太ってメタボになる。
やせ我慢していた方が良いんだ。。。

Friday, September 23, 2016

愛される自信

一番大切なのは、その人を心から愛している自信があるか、
愛されているという自信があるかということ。

fear of rejection
捨てられることへの怖れ。その逆が、捨てられないという安心。
いつかは別れが来る。死別か、離別かわかんないけど。それを怖れていたら、そこを隠さないといけない。普通はそうするでしょ。でも思い切って別れと死に向き合えば、もう怖れるものはなくなるんだ。

Nothing to loose. Nothing to hide.
失うものはもう何もない。隠すものも。
自分に正直でいられる。

怖れなくても良い、怖れと不安から自分を解放してやれば、とても楽になる、自由になれる。

死と別れに向き合いたくなくても、たまたま向き合っちゃって、仕方がなくもがき苦しんで、そこを乗り越えたら、もう怖れるものはなくなる。
人は強くなれる。

自分の弱さにも向き合える。

でも、乗り越えるってホントはとてもたいへん。ビビっちゃうよ、どうしても。
不安になっちゃう。
そこで、始めに戻って来るんだ。
自分は愛されているんだって確信できるか、
自分が愛されているっていう部分に自信を持てるかってことなんだ。
愛されたという確信が、人を愛する確信に繋がる。

「それは、我慢も遠慮もせず、自分を出せて、自分のしたいこと、そして相手のしたいことをお互いに受け入れ合うことです。」

Tuesday, September 13, 2016

じん、よく言ったぞ!

おぅ、オヤジ。オレやっぱ国立やめようかと思うんだ、、、

ふだん、勉強や受験のことパパが聞いても何も言わずうるさがっているじんが、めずらしく神妙な顔をして、椅子に座って、突然言い出した。
おっ、来たか!
パパもテレビを消してじんに向き合った。

おう。どうしたんだ?

いや、もう科目が多すぎて、さすがに追いつかないんだ。

ああ、そうか。ぜんぜん構わないぞ。祐馬だって私立なんだし。お金のことは気にするな!

済まない、、、

じんの尊敬する兄貴は公立高校から国立大に行った。
じんがケンカばかりしていた(今はもうやらないか?)姉貴は公立高校から外国の大学に行っちゃった。
パパもママも公立高校だった。
じんも行きたかったよな。でも公立高落ちちゃって、私立校へ。
そのリベンジで国立大に行きたかったんだろ。今まで公立大に行くんだと頑張っていたもんな。それがじんのプライドだったんだ。じんはひとりでよく勉強しているよ。パパが何か言うとうるさがって「オヤジは何も知らないだろ!」としか言わないけど、パパはそう思っている。

そう。目標を高く掲げて頑張るんだ。それは正しいことだ。
東大を目指せ! 甲子園を目指せ! 金メダルを取るんだ!
くじけるな! 困難に立ち向かえ! 最後までやり通せ!

でも、行き詰り、にっちもさっちも行かなくなるときだってある。
この時期、言い出すのは、センター試験の科目選定があったからなのか、先生に何か言われたのか、そこまではじんも言わないからわかんないけど。

それで良いんだよ。
目標を下げることは敗北ではない。むしろ勝利なんだ。
プライドを捨てず、無理とわかっていても、当初の目標に突っ走るって、なんか強いように見えるけど、実は現実を見るのが怖くて否認しているからなんだ。
現実を受け入れ、今まで自分を支えてきたプライドを再調整するって方がよっぽど難しいし、それを自分で受け入れるってのは、実は強いことなんだよ。

おやじに金を使わせたくない。
それがおまえのプライドなんだろ!?
パパがそれくらいの金は持っていることはじんも知っているだろ。
金があるないの問題ではなくて、じんは親がかりが嫌なんだよな。自立したいんだよな。

今の段階で国立を視野から外し、受験科目を減らして集中するのは賢明な策じゃないか。
その線でがんばりなさい。自分で行きたい大学を選び、ベストを尽くしてごらん!