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Tuesday, January 26, 2010

教師のための大学授業

魂は生きている。夫がかけてくれた虹。河辺さんがおっしゃいました。
優子の魂をひゅっとおろして、またひゅっとあげて・・・いまもこのへんに、この花束のなかにいるかもしれない。先生がおっしゃいました。ここそこから鼻をすする音がきこえました。
前回の授業では、前々回に見たVTRに出演していた河辺貴子さんと、我らがTiki先生のおふたりによるお話を聞きました。おふたりとも言わずとしれた愛するひとをなくした当人であり、その全貌をまとめるにはあまりにも広く深いお話をしてくださいました。おふたりの相違点であるのはまずひとつ、共に闘病したかどうかであり、その経験がおありの河辺さんからは、闘病生活について多くの経験談をお聞きすることができました。ホスピスという場所のとらえ方、真剣に向き合うことの大切さ、特別ではなく日常を心がけた毎日の闘病生活、癌が再発した時の絶望感、病人本人の計り知れない辛さ、ひとりになってからの人生・・・彼女が感じたひとつひとつを、それぞれにぴったりなことばを選んで、伝えてくださいました。
一方で、闘病することもなくある日突然奥様をなくされた先生は、今度は河辺さんには経験のない、子どもがいることについても語ってくださいました。娘や息子がいることで、つくるごはんの量を変えなくてもよかったこと、奥様とできない喧嘩を娘さんとできること、子どもたちのなかで自分がNO.1の親になったこと・・・
先生を頼るしかないこどもたちの存在がどれだけ先生を支え、優子さんのいない悲しみと向き合う力になったのかをうかがいしれるお話でした。
おふたりは過去を振り返った後に、これからを見ることも忘れていませんでした。「愛し合っているひとがいなくなってしまったら、そのひととのSEXはもう一生叶わない。それはとてもかなしい。」といった河辺さんに対して先生は「僕はまだあきらめていません。」と豪語し、さらに河辺さんも「私だって!」と返していました。そして私たちにも、「とにかくこんなふうに想えるようなひとと出会うことよ、」と言ってくださいました。これから、そのような最愛のひとに出会うことは簡単ではないですが、おふたりにも、私たちにも、生きている限りそんなチャンスは何千何万とあるのでしょう。おふたりとも、こんなにも深いお話を、ありがとうございました。

いつもの授業は(上から)先生目線で、授業を進め、みんなのお題を読むのだけど、今回は違いました。いつもは、学生たちのための授業。今回は、みんなのためでもあるけど、私自身の喪のプロセスに使わせてもらいました。
悲しみを語ることは辛いのですが、慣れてしまうとむしろ語らないことの方が辛いんです。しかも、今回は河辺さんの物語と私の物語の二重奏。基本的に短調ではあるけど、所々の調律が微妙に異なっていたでしょ。それが、ハーモニーとなり、より立体的な物語が奏でられるんです。ふたりとも、特に何を話そうと準備していたわけじゃないんですよ。アドリブでみんなの質問に答えながら、私の心を率直に描写しました。パンドラの箱のように、深い辛さ・悲しみがたくさん出てきた後に、希望が飛び出してくるんですよ。それらをみんなに聴かせて受けて止めてもらって、こうやってフィードバックをもらうんです。私にとって、それは自分の気持ちを鏡に映し出しているような気持ちになるんですね。自分の悲しい・恥ずかしい気持ちが受け入れられ、他者によって認められます。そうやって、私自身の気持ちを整理しているんですよ。みんなどうもありがとう!

女の私にとって先生の「再婚の意思あり」宣言には少しショックだったんです(笑)パートナーを亡くしてから再婚するのは男性が多いという事実も今日初めて知りました。
⇒その気持ちわかるよ。でも、天国の優子は、私にどうすることを望んているかな?もしあなたが愛する人を天国から見守る立場だったら、どう望む?

先生に悲しいものは悲しいままでいいのだと言われ、無理に苦しみを消し去ろうとしなくていいのだと思い、なんだか心に感じるものがありました。
⇒「~べき」論ではなく、大切なのは自分の気持ちを素直に無理なく受け入れることだよね。

先生の、今が一番純粋に優子さんのことを愛していると感じられるという話を聴いて、素敵だなと思った。
⇒生きているときも、心の基底には愛情があるけど、その上に家事・育児などの生活や考えの食い違い、いろんな人との付き合いとかさまざまな葛藤やストレスが山積みで、愛情はその下に埋もれちゃってます。亡くなるそれらが全部消えてしまうので、基底がよく見えるんです。

病気や死はどんな時も身近にあるのかもしれません。でも、自分だけが大変な思いをしていると落ち込むより、積極的に考えた方がいいということを改めて学ぶことが出来ました。
⇒そう。それが本当の意味の自立だね。

私が死んだ時にそのように悲しんでくれる人、その人が亡くなった時私が悲しめる人とめぐり合えたらいいなと思いました。河辺さんご夫婦も、先生ご夫婦もとても理想です。
⇒夫婦関係は、理想の人と巡り合うものではなく、一旦決めた人と時間をかけて作り上げていくものだと思うよ。

お話をしている時の表情から、旦那さん・奥さんのことを心から愛していることが伝わってきました。失礼かもしれませんが、すごく素敵で印象深い表情でした。私も、相手のことを考えた時に、自然とそんな表情になるようなパートナーに出会えたらいいなあと思います。
⇒失礼じゃないよ、大切なことだからね。それは、素敵なパートナー以上に、素敵な自分に出会うことだよ。

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