Send your message to lettertoyuko@gmail.com


Wednesday, March 11, 2009

とりつくしま

優子

僕の夢に出て来てくれてありがとう。
最近、よく出てくるようになったジャン。
初めの頃はあまり来なくて、じんじんの方に出ていたみたいね。優子が亡くなって3-4日ごろだったかな、じんがポツリと、ママの夢みた、って言っていた。あいつは、あまり言わないんだけど、言う時は鋭いことを言うから。
でも、最近は僕の方に来るようになったね。
初めて来た時は、本当にびっくりしたよ。
というか、どっちが夢でどっちが現実だかわからなくなっちゃって、ひょっとしたら今のこっちが夢なんじゃないかと、本当に思えたもの。夢から覚めた後も、しばらくわけがわからなくなっていたよ。
でも、やっと現実世界の方に戻ってきたら、すごく悲しかった。夢の世界の方がよっぽど良いよ、そっちに行きたいよと思ったね。

次に出てきたときからは、初回ほどびっくりはしなかった。
夢を見るのも短時間、断片的になってきたし。
でも、その中では、優子はしっかり生きていることを主張するんだ。
それはそれでとても嬉しいんだけど。
ほんのわずかな時間だし、夜中に目が覚めて、隣に優子が寝ていないことを確認して、現実をリセットして、トイレに起きて、また寝入る時の悲しさは耐えがたいよ。夢を見るのが怖くなってきた。

かといって、もう夢には出てきてくれるなとはまだ言えないしねえ。
それはそれで、寂しくなっちゃうし。まだ、しばらくは出てきてほしい。
まあ、ずっといる必要はないけど、サヨナラできるまでは、僕のまわりに居てほしい。
映画ゴーストみたいにね。

直子さんが本に書いてるけど、死んだらとりつくしまを選べるんだって。
優子は何にとりついてくれるの?
これは、死んだ人が選ぶことらしいので、とりつかれる側の僕は何も言えないのだけど、一応希望を出しておくと、
1.結婚指輪。しばらくは、ずっと身に付けてるから。
2.自転車。優子にまたいで乗れるってのは、魅力的だね(笑)。2台とも両方にね。
3.カンポマルツィオのネックレス・ペン。最近よく付けているんだ。趣味と実用と兼ねられるしね。優子にも贈ったでしょ。今は、みやこさんやゆみさん、わっかさんが使ってくれていると思うけど。

直子さんがこの本を贈ってくれたとき、僕は読まなかったのだけど、祐馬は優子から勧められて読んでいだんだって。祐馬は何にとりついてもらいたいかと僕が聞いたら、
そういう空想物語はやめてもらえますか。
と却下されました(泣笑)。

悼む人も読んだよ。
天童荒太がいつもテーマにする親子の確執・虐待は、職業的にとても近い話題なんだけど、今まではあまり読む気がせず避けてきた。でも、今回は、表題があまりに僕の状況に近いし、ベストセラーになっているから手にとってみたよ。

その人は、誰を愛したか。
誰に愛されたか。
どんなことで人に感謝されたことがあったか。

結局、人が生きている根拠って、こういうことなんだよね。
生きている最中は気づかなくても、死に直面すると、そのことが自ずからクローズアップされてくる。
優子との生活と喜怒哀楽を共にする現在と、優子と語り合える未来を失った僕にできることは、優子の過去をかき集めること。

僕が優子をどう愛したか。
優子は誰に愛されたのか。
優子は誰を愛したのか。

過去をかき集めて何になるんだ?と言いたくなるけど。
ちょうど、子どもが親の愛を胸に取り込んで、はじめて親から離れてゆけるように、
僕も、優子との過去をしっかり抱かないと、優子から離れられないような気がするんだ。

もう、いい加減、くたびれた。早く、この作業は終わりにしたいんだけど、、、、できない。

No comments:

Post a Comment