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Sunday, March 8, 2009

心の健康さと精神科医

Tiki、優子です。

ブログ読んでいるわ。
私のせいで、Tikiにこれほど辛い思いさせてしまって、本当にごめんなさい。
Tikiと出会う前は、精神科のお医者さんって、みんな自分もメンタル面での問題を持っているから精神科を選ぶのだと想像していたけど、Tikiは全然違うのね。私も、Tikiと出会う頃は、ずいぶん自分や家族のことで悩んでいたの。でも、ブログ読んでいると、Tikiが心身ともに健康に過ごしてきたことがよくわかるわ。精神科医の見方がずいぶん変ったのよ。

なにをいまさら(笑)。
それとも、優子も僕と同じように、離れたから僕の見えなかった側面が見えてきたの?

確かに優子の言うことは当たっているよ。
問題アリの精神科医はずいぶん多いんだ。臨床心理士なんかも、そうだろうね。
医学部時代、こいつだけには診てもらいたくないというようなヤツが精神科医になったり。
昔、勤めていた病院には、統合失調症の医者もいたし。(でも、だれもそのことを指摘できないんだ)
自殺した精神科医もずいぶん知っているよ。
県の指導的立場にいる先生が言っていたよ。一番やっかいな患者は、人格障害の精神科医だって。
いや、精神科医すべてを否定しているわけじゃないよ。人間的にも尊敬できる、素晴らしい精神科医もたくさんいるんだ。良い医者と、問題アリの医者の落差が大きいね。

自分がメンタルな問題を抱えていること自体は、悪くないんだ。
大切なのは、それを自分で避けずにキチンと見つめ、他人の力を借りながら、ちゃんと相対化して整理した経験を持っているか否かということなんだ。それができている人はとても強いよ。悩んでいる人の苦しみもちゃんと共感できるし、患者さんがうまくそれを乗り越えられるよう、上手に支援できるんだ。
逆に、それができていない医者は最悪だね。自分の心を開いた経験がないから、相手の心も開けない。患者さんや病気のことを理屈でしか理解できず、その背後の気持ちに触れられないんだ。
6年間の医学教育って、要するに理屈のかたまりだからね。卒業して医師免許を持っても、本当の精神科医としてのトレーニングはそこから始まるんだよ。難しい理論や薬の使い方だけではなく、自分の気持ちや悩みを他者に語り、それまで避けてきた自分の気持ちの奥底にちゃんと向き合うんだ。
私はそんなメンタルの問題はないから、必要ありません、という人が一番あやしいね。自分の心をわかっていないんだ。だいたい、心の問題がないなんてことはありえないからね。誰だって、そういうのを持っている。僕自身、トレーニングを受ける前は、自分は心身ともに健康だから、、、なんて思っていたよ。でも、いざ試してみると、今まで気づかなかったことが出るわ、出るわ、たくさん出てくる。なんだ、自分ってそうだったんだという具合に、新しい発見だらけなんだ。家族療法やるなら、自分の家族についても、深く掘り下げなくちゃダメなんだ。
優子は、私はアダルトチルドレンかも、とか日記に書いてあったね。それくらいのことは、ACの本を読めば誰でも感じることだけど、大切なのは、その先だよね。自分がACだと思うんだったら、親のことを責めるだけじゃなくて、なぜそうなったのか、親の親のこととか、両親の夫婦関係とかも含め、それらが自分の悩みとどう結びついてるのか、冷静に考えるんだ。ひとりで考えてもどうしても限界があって、信頼できる誰かに手伝ってもらうことになる。それが、教育分析とか、スーパービジョンにあたるんだ。要するに、自分が疑似患者体験をすることで、どうやったら患者さんを救えるのかを身をもって体験するわけ。そういう経験を経て、本当の意味で患者さんの気持ちを理解できる治療者になれるんだ。

ところが、残念ながら、日本には教育分析やスーパービジョンを受ける機会がとても少ないんだ。それをやらないと、治療者として、患者さんの感性を扱うことができない。結局、それまで詰め込まれてきた偏差値教育の延長で、人の気持ちを理屈でしか理解できず、観察された症状を操作的な診断基準に当てはめ、薬を処方するだけの精神科医になっちゃうんだ。

僕も、そういうトレーニングは、日本では部分的にしかできず、イギリス留学時代や、その後の海外研修なんかでずいぶんとやったよ。若いと限界があるね。30歳過ぎないと見えてこない部分もけっこうあるから。40歳になり、50歳になりと、人生経験を重ねていく中で、見えてくるものはさらに増えていくみたい。

実は、僕自身が持っている心の健康さが、心の専門家としてはコンプレックスであったりもするんだ。いくらトレーニングしたって、基本的に自分が健康だと思っている人は、そうでない人の本当の気持ちはわからないし、患者さんも健康なお医者さんよりは、悩みを持ったお医者さんの方が性に合うんじゃないかってね。
でも、今回、優子を失って、そのコンプレックスも見事に解消したよ。
まわりの人たちや、西の魔女の手助けも借りて、改めて50歳になった自分を振り返る良い機会かも。今まで気づかなかったことが、また見えてくるかな?

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