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Tuesday, May 5, 2009

草津のお家


優子

草津に来たよ。
優子がここで死んで以来だ。
春休みに来ようと思ったけど、子どもたちは来たくないって。
今回もちゅけは部活で留守番。じんと祐馬と、祐馬の仲良し3人娘と、その家族。総勢大人3人、子ども5人。これくらいが一番楽しいんだよね。BBQや温泉めぐり、とても楽しかったよ。

僕と子どもたちだけでここに来るのは恐かったんだ。
ここは、あまりにも優子の思い出いっぱいの場所だから。

ちょうど4ヶ月前。お正月の元旦行事を済ませ、二日にここに来たんだよな。雪の中、寒かったよ。夕食は、おせちの残りで簡単に済ませたんだったよね。正月&スキーは、何の変哲もない、10年来続けている、我が家の冬休みの風景だったよ。3日の午前中まではね。3日の朝、ここから車で小1時間、万座プリンスHにチェックインして、スキーして。何の前触れもなく、優子が死んじゃったんだ。

それ以来の草津だよ。
ここは、じんが生まれた10年前、ふたりで買ったんだよね。
僕の子ども時代は両親の実家(群馬&愛媛)に休みごとに訪ね、山と海の自然と、大勢のいとこたちと楽しい日々を送ったから、子どもたちにも同じように自然体験をさせてやりたい。僕らも留学を終え、ふたりで働き始めて6年。時間的にも経済的にも少し余裕が出てきたので、軽井沢や八ヶ岳などいろいろ回って物色したよね。ここは、温泉も近いしスキーもできる。ふたりが気に入って、中古物件を値切って買ったんだ。僕は何も考えずに僕の名前で登記しようとしたら、優子が待ったをかけたよね。そうやって何も考えていないところがイヤなのよ。そう言われりゃ、たしかにふたりのものだよね。東京の自宅は僕の親の土地に家を建てたから、優子が口を挟むこともなかったけど。そう、ここはふたりのものだ。ふたりの共同名義で登記したよね。でも、そのおかげで、今、名義の書き換えの手続きで苦労してるぞ。

以来、家族の大好きな場所になった。僕は温泉とスキー、子どもたちは時々出没するトカゲやヘビと、渡辺牧場、優子はフルートの練習と夏の音楽フェスティバルが、大のお気に入りなんだ。
庭には、優子が植えた水仙が、何の手入れもしないのにきれいに咲いていたよ。庭でBBQしていたら、ふと優子が「遅くなりました~」なんて、ひょいと戻ってくるような感覚になる。
いろんな人たちが来てくれたよね。じじばばをはじめ、保育園仲間や子どもたちの友人家族、それに僕の友人など。今回も、子どもたちは前の広場でドッジボールしたり、ハンモックに乗ったり、夜は一緒にパジャマトーク。とても楽しそうだった。それを見てると、僕も楽しくなる。みんなといれば、優子のことを考えていなくて済むんだ。

今は、ひとりペルツのお湯で、のんびり温泉に浸かったよ。みんなを電車で先に帰し、僕は渋滞を避け、これから一人、夜の関越だ。1月3日の深夜も、優子の寝台車と共に、悲しい関越を通ったんだ。

今日は、草津のガラス屋に寄ったよ。ここも優子とたくさん来たよね。優子の仏壇に、一輪刺しとミニチュアの動物細工を買ったよ。動物を選んでいると、優子のことを思い出し、涙が出てきた。それを祐馬が目ざとく見つけ、パパ、やーね、とおこられたよ。

夏休みも、子どもたちとたくさん草津に来ようね。その時は、ちゅけも来れるかな。優子の灰もお庭に散らそう。友だち、たくさん呼ぼう。みんなでBBQやハイキングやテニスをしよう。夏にはゴルフもやりたいなあ。

まだまだ、傷は深いなあ。
子どもたちや、人と居るときは平気だけど、ひとりになると、ズキンズキンと痛みだす。こうやって、ブログをとおして自分に向き合うのも、傷の手当てなんだ。見過ごせば、気づかない形で痛みだす。痛みは、痛みとしてしっかり向き合わないと、かえって苦しくなるよ。
みんなとワイワイ楽しんだ後には、こうやってひとり、自分に向き合う時間も必要みたいだ。その辛さにも慣れてきた。これも、大切な作業だよ。

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