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Sunday, May 17, 2009

「婚活」時代:中年オトコ編:その4

パートナー間の役割分担

 以前は、結婚後のライフスタイルに対する選択肢がほとんどなかった。つまり、男性が外回り(仕事、収入)、女性が内回り(家事・育児)と、どちらか一方ずつを担当し、お互いに補うという伝統的性役割分業である。しかし、今は、そのあたりがだいぶ自由になり、男女両方が、内・外の両方を適切な配分で使い分けることもできるようになった。男女が新しくパートナーを求める場合、各々が考えるwork and life balanceをどうするか、よく考え、話し合い、すり合わせておくことが大切だ。
 現代のトレンドとしては、女性が男性に経済的に依存し、男性が女性に家事育児を依存しあうという伝統的パターンはあまりはやらない。その理由は、フェミニストたちが言うように、結局このパターンは女性に過重負担がかかるので、避けたがる女性が多いからである。新たなパートナーを求める中年オトコにとって、経済的にも、生活的(家事育児)にも相手に依存せずに自活できる方が、パートナーの選択肢はぐっと広がる。その前提には、男性も女性も、経済的及び生活スキル的に自立していることが前提である。
 しかし、実際には、お互い依存ではなく、ちゃんと対等に働いて、家事育児も平等にして、ワークライフバランスを楽しめる新しい夫婦関係を実現できる男性はまだ少数である(白河, 2008)
 このように、お互いに自立していれば、あえて一緒に住み、生活を共にしなくてもよい。すでに、それぞれの住居を持っているのであれば、生活の基盤はそのまま移さず、週末婚、通い婚というように、限定された時間だけ一緒の時を過ごすという手もある。さらに、婚姻届を出さないのであれば、結婚関係というよりは、恋人関係といえるだろう。


子どもとの関係

 亡くした妻との間に子どもがいる場合、子どもたちへの配慮が大切だ。子どもが幼い場合は、愛着対象としての母親が必要になる。生活を共にするなら、夫婦間のみならず、子どもとの関係がうまく成立することが大切だ。一般に、継母、継父、継子関係は難しいとされている。それを乗り越えるだけの努力が必要となる。
 子どもたちが思春期に達している場合、親子は親離れ・子離れの時期であり、10歳ころから10年ほどかけて徐々に親から分離していく。中年オトコばかりでなく、子どもたちにとって母親を喪失したダメージは大きい。しかし、子どもの年齢がより高く、父親や祖父母などが、安定した家庭環境を提供してあげれば、案外、母親の喪失を乗り越えてしっかり成長してゆける。
しかし、その場合でも、父親に新しい女性ができると、子どもたちは動揺する。パパが亡くなったママを裏切ったと感じ、子どもに向けられてきた父親の愛情が、別の女の人に行ってしまったという喪失感を抱く。新しいパートナーと、子どもたちとの関係を、うまく構築していかなければならない。それがうまくいくために、子どもたちが、母親を失った喪の作業をどれほどこなしているかが一つの指標となる。表面的には元気でも、心の中では母親を失った悲しみが癒えていないこともある。そのことを確認しつつ、父親と子どもが一緒にお墓まいりに行き、母親のことを語り、みんなが、ママを亡くしたことをどう感じているのか、無理のない形でゆっくりと話し合ってゆくとよい。
 パートナーを紹介する時も徐々に進めていく。いきなり一緒に住むというようなことは避ける。まずは、外で会って、「パパのお友だち」として紹介し、ディズニーランドで一緒に楽しい時を過ごすなどして、パパの大切なお友だちであると同時に、子どもたちにとっても大切な人としての関係を深めていく。特に娘は敏感であり、父親を別の女の人に取られたという感覚を持ちやすい。ある程度の段階で、子どもと相談して、お父さんの気持ちを率直に伝えながら、理解を求めてゆく。

老親介護

 中年期は、ライフサイクル上、子どもの成長・巣立ちとともに、年老いた親への介護がテーマとなる。最近は元気な高齢者が増え、家庭介護ばかりでなく、公的な介護システムも徐々に整いつつある。少子化の中で、パートナー双方の親をうまい形でケアしていくことは、何も再婚の場合に限らない。
 妻を亡くした場合、その親との関係をどう維持するか。娘を亡くした親も、夫以上に深く悲しんでいる。亡妻の親と夫との義理関係そのものはそれほど重要ではないが、孫たちとの関係は、親にとって相変わらず重要である。老親にとって、孫との交流は生きがいにもつながる。妻不在の中で、祖父母・孫関係をどう維持できるか配慮が要する。
 このように、パートナー関係を結ぶということは、二人だけの関係ではなく、子どもや親など、家族全体との関係をうまく結んでいくことである。

(続く)

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