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Monday, November 30, 2009

悲しみに降りてゆく

男おひとりさま道
上野千鶴子著。法研、2009年。

流行ってるし、おひとりさまになっちゃったから読んだ。
元本の「おひとりさまの老後」は読んでないけど、これから老後を迎えるおひとりさま女性向けに、
それで大丈夫、安心して老後を迎えられるよ、
というトーンなのだろう。
一方、この男バージョンは、
まず男のビョーキを直しなさい、ちゃんと自分を反省して見つめ直しなさい。そうすれば、男にも道は開けるから、
みたいな、一発ジャブを食わせて、謝らせてから、元気を出させるようなトーンだ。

この本を批判するつもりはない。ベストセラー作家だし、文章はうまいから、ついつい真実であるかのように受け取ってしまうけど、ひとりの人間(否定的な両親体験を持つ、団塊世代の女性)の考えた物語だから、すべての男たちにあてはまるわけないと気づけば、そこまで固執する必要もなくなる。

でも、あえて共感した部分を挙げれば、男たちは老後の生活に必要な坂を下りるスキル(=弱さの情報公開)がとても苦手なこと。それは僕自身も、まわりの男たちを見ていてもそう。弱さを認められない弱さを我々は抱えている。

僕は、喪失の悲しみという弱さを体験しつくして、それを乗り越えようとしている。

でも、こういうの、本当の弱さじゃないんだよね。
強さが根底にあるから、弱い自分を演じることができるんだ。
上野さんだって、僕だってそうでしょ。
基本的に自分の強い部分を自覚している。それは、学歴社会の中での偏差値的強さ、社会的成功体験に裏付けられた強さが根底にある。そこに弱さが後から部分的につけ加われば、その部分だけ取り出して語ることができる。でも、本当に負けちゃいないんだ。
上野さんにとっては、女性であるということの弱さを使える。一方、男たちは、男であることが弱さになりえないから、なかなか自然に弱さへ降りて負けることができない。それができれば、とても楽だし、人生の本当の豊かさに気づけると思うんだけど。

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