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Sunday, January 29, 2012

存在の基盤と、存在の価値

もう、いい加減ブログやめたっていいじゃん。
3年経ったし、もう痛くはない。喪の仕事は大方済ませたし、もう大丈夫。
優子のことがあーだこーだ言わなくたって良い。もういいかげん作ってるでしょ!?
ブログを読んでくれる人のため?
そりゃそうだ。ありがとうございます。みなさんに救われました。
でも、読者のために書いている訳じゃない。自分のために書いているんだ。
伝えるものがなければ、終了したっていいじゃん。すでにたくさんのITメディアがあるし。表のblogやtwitterやfacebookに移行するとか。
でもここは僕の喪失から始まった、僕のアイデンティティ再建の場。つまり僕のアイデンティティそのもの。辞めるわけにはいかない。

自分が弱いってことが大切なんだよね。弱さを抱えている。その弱さを出せる場がここ。
弱さに向き合って、ホントの自分になれる。
普段、私は強さを求められる。父親として、先生として。僕に頼る人もたくさんいる。そういう人の前では強く頼れる自分でなくてはならない。そんなことばかりやってまわりからおだてられてると、自分はホントに強いんだなんて思い込んでしまう。

強い人間なんて魅力ないじゃん。
オレは先生なんかじゃない。
いや、「先生」なんですけど。
自分の弱さにいつも向き合うことで、他者の弱さを受け入れることができる。
弱さと強さ。どっちもホントの自分なんでしょね。


自分を受け止めてくれていた優子を突然亡くしたとき、自分の半分がなくなり、自分の存在が危機に陥った。
そればかり言ってるね。そんな大げさな!
いや、そうでもないよ。妻の後を追う人もけっこういるし。
自分を受け止めてくれる人が必要だった。ブログに自分を出し、それを受け止めてもらった。

優子に自分を出していたかなあ?自分では自覚してなかったけど、実はバンバン出していたんだろうね、振り返ってみると。
自分は弱かった。他者を必要とした。
他者がいて初めて自分が成り立った。
そんな当たり前のこと、人生50年やって、やっと気づいたわけ?
そうなんですよ。
こども時代は家族に生まれ、親が自分の存在を受け止めてくれた。
おとな時代に優子と家族になってからは、優子が自分の存在を受け止めてくれた。
受け止める他者が当たり前にいたから、その大切さに気づかなかったんです。


自分の存在の基盤をつくるために、他者を必要とする。
能動的に人に向かっていく。
それは弱さvulnerabilityからスタートする。
自分の存在の価値・意味をつくるために、他者から必要とされることを必要とする。
向かってくる人を受け止める(受動性)。
それは強さcapabilityを基盤にしている。

弱い子ども時代は存在価値なんていらない。存在の基盤が必要だ。
大人になるためには強さと存在価値が必要だ。そのために他者が必要になる。

他者から必要とされる喜び。
こっちはOKなんですよ。
3人の子どもたちがいる。まあ、あと10年くらいは必要とされるだろうし。
精神科医の私を必要とする人もいる。
大学やめて医者専業になったのも、この辺りがホントのところなのかな。学生たちは教授を必要としてたけど、単位をもらうためでしょ。そんなに必死じゃなかったし、多くの教授陣のひとりに過ぎなかった。心の危機に陥った人たちは、学生たちより強烈に私を必要とする。患者さんたちからも、生きがいを得ているんですよ。

優子が私を必要としていたかって、そりゃあ生活のため、子どもたちのために必要としていただろうけど、そうでもなかったんじゃない?
私が優子を必要としていた方が、優子が私を必要としていた方より強かった?
私が優子を必要としていることが、優子にとって私を必要とする根拠だったんじゃない?
少なくとも僕にとって優子を愛することの方が、優子から愛されることより重要だった。
優子から愛して欲しいというよりは、僕の愛を受け止めて欲しかったんじゃないかな。

愛すること(求めること)が自分の基盤を作り、
愛されること(求められること)が自分の生き甲斐を作る。

僕は生き甲斐はちゃんとキープしたまま、基盤を失っちゃったんですよ。
さあ、これからどうする?
1)僕の弱さをさらけ出し、受け止めてくれる人がやっぱり必要なの?生きている限り、それは必要ですか?
2)なくてもやっていける?パートナーがいなくたって、十分基盤はあるでしょ。だって、世の中、ひとりで生きている人たくさんいるよ。慣れれば問題ないんですよ。
3)いや、問題あるけど、基盤を無くしたまま不安定さを内包していたほうが良いんじゃない?そんな、辛いことをおっしゃる!不安定の方がより人間くさいじゃない。その方が、wounded healer、心の支援者として役に立つよ。

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