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Monday, October 4, 2010

1年9ヶ月

おう、優子、久しぶり。みんなでやってきたぞ。
おばあちゃんも夏の暑さから回復して、まあ元気そう。誘っても来ないかと思ったけど、一緒に来たよ。水で清めて、花を手向け、お線香をあげるだけの短い時間だけど、子どもたちとおばあちゃんにとっても、とても大切なひと時だ。帰りにファミレスに寄って、子どもたちの食べっぷりと騒々しいおしゃべりにおばあちゃんも心を和ませた。子どもたちもお小遣いをもらって超ラッキーだったね。
おばあちゃんも、以前までは、
「優子は仕事で無理をしたのがいけなかったんで、、、
まだ親戚や友だちにも言ってないんですよ、、、
でも、Tikiさんと子どもたちに恵まれて、短いけれど幸せな人生でした、、、
でも45歳じゃあねえ、、、ちょっと早すぎたわねえ、、、」
みたいなトーンだったから子どもたちもイヤがっていたけど、今日の話は少し変わってきたよ。
今だから話すけど、優子は結構もててね、結婚前は盛んだったのよ。
卒業旅行でヨーロッパに行ったら、おっかけて付いてきた男性もいたのよ。
いや、優子もバカというか、当時の彼氏からの手紙や写真をマル秘のお宝箱にとっておいたんですよ。死ぬとわかっていたら処分しただろうに。それを見ると、彼が優子についてきたんではなくて、当時、ヨーロッパに留学していた彼に、優子が会いに行ったみたいよ。彼の手紙には、
「優子は、どうしてもTikiさんと結婚するのか?」みたいなことが書いてあって。
その半年くらい前に僕がプロポーズして、だいぶ待たされていた頃だったから。優子は二股かけていたというより、彼に会って気持ちの整理をつけたかったんだろうね、と良い方に解釈してあげるよ。彼には僕の存在を伝えたけど、僕には彼の存在は伝えなかったんだね。

後悔や悲しみとはちょっと違う、こういうちょっとおバカで楽しい話なら、子どもたちに聞かせてもいいかな。後部座席で祐馬がバッチリ聞き耳を立てていた。
パパがプロポーズする前にも、ママはけっこう結婚を申し込まれたみたいよ。
だって、ママが結婚したの23歳でしょ。それ、早くない?
そうだね。ママはとても男の人にもてたんだよ。可愛かったもの。
なのに、どうしてパパなんかと結婚したの?
そりゃあ、パパが一番良かったんだろうね。ママは、たくさんの男たちの中からパパを選んだんだよ。パパだって、たくさんの女の人たちの中からママを選んだんだから。

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私たちはたくさん得たのよ。何も失っていないわ。そうでしょ!?
そりゃあ、心の中には優子が残ってるけど、片面だけだぞ。B面の、口うるさく、子どものしつけや部屋の整理でケンカして、ムカつく優子は失ったよ。A面の、聖女の偶像しか残ってない。

男としての自分らしさを求めたからって、私を忘れようとしたり、TIkiの人生から私を消し去ろうとすることではないのよ。たとえ、Tikiが新しいパートナーを見つけたとしても、私がTikiの人生の一部だということは消し去ることはできないの。
じゃあ、どうすんの?
もし仮に新しい人ができたって、優子とバッティングしちゃうじゃない!?

そのあたりのことは、僕も机上の空論としていろいろ考えてみたんだよ。
人を愛そうと思ったら、優子を愛した記憶が出てくると思うんだ。それは大切だと思うんだよ。愛の記憶があるから、新たな愛に向かう自信につながる。ちょうど親に愛され、親を愛した体験が、新たな愛へ向かえる原動力になるようにね。成長して親離れすれば、過去の記憶が現在の肥しになるように。
(ただし親離れ・子離れできてないと、親子の愛着や葛藤がパートナー間に投影されたりするけど)
優子を愛した体験が、新たな愛へのエネルギーになりうるの?
親子の愛とパートナー間の愛は、種類の違う別のチャンネルだからいいけど、パートナー間同士だったら混線しちゃうんじゃない?新たな人を偶像の優子と比較しちゃったりして。

しっかり、優子離れすればいいの?
別に記憶から消し去るわけじゃない。親離れみたいに、記憶は大切に温めてるけど、もうそこに執着しないというか、済んで整理された、過去の温かい記憶だったらいいのかな??
、、、よくわかりませ~ん!

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