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Monday, February 7, 2011

Slow Life

僕にとって、slow downするって思いのほか難しいんだよなあ。
優子を失う前から、slow downしたいって考えていたけど、いつも気がついたら思いっきり飛ばしている。

仕事をslow downしよう。
そう思って大学を辞めるはずなのに、次の仕事(開業)に向けて、また走り始めている。物件を22件見て回り、そろそろ手を打つかな。そうだよ、そうやってたくさん見るのがセオリーなんだから。
開業したらどんな風にしようかな。次々にアイデアが湧いてくる。ほかの人にはできない、僕にしかできないユニークな仕事を!
そうだよ。それが僕の取り柄なんだ。優子がいなくなったって、へこたれないんだ。馬力を持っているからね。D51の蒸気機関車か、新幹線か、障害物をものともせず、ぶっ飛ばしてゆく。そういうライフスタイルをよしとしてきたんだ。成長神話。More is betterの生き方。

何でもっとゆっくりしないの?
ゆっくりできないの?

だって、つまらないじゃん!短い人生だもの。限られた時間のワク内でやりたいことはたくさんある。面白いことをたくさんやらなくちゃ損でしょ。
コマみたいに回り続けているんだ。回ることでバランスを取っている。

スピードを落とせば見えてくるものがあるはずだ。
新幹線じゃなくて、鈍行列車。
自動車じゃなくて、自転車あるいは徒歩。
同じ道を進んでも、周りの景色は全然違う。

光と影。
影を見過ごし、光ばかりを追い求めてきた。
Slow downしたら、影の部分が見えてくる。優子を失い、バランスを崩し、倒れるんじゃないあという不安があるんだろう。その不安を解消するために、とりあえず、回り続けないといけない。要するに、人生を焦っているんだね、キミは。
こうやって書いているのだって、回している証拠だ。自分との対話を続けている。
日本社会だって、すっ飛ばしてきた。そうしないと列強に乗っ取られるという不安・焦りが国中にあったのだよな。
でも、バブル期以降、多少はslow downしたから見えてきたものもある。心理学ブームも然り。影の部分(病理)にも目を向ける余裕が出てきたんだ。社会がそれに気づけば、見かけの頻度は増加する。「ひきこもり」だってホントは昔からあった病理なんだ。それを、今まで見過ごしてきただけ。見ることができるようになっただけマシと考えてもよいはずだ。

どうやったらslow downできるのだろうか?
僕にとっては至難の業だ。ヒマでも、やることがなくても、何かちょこまかやることを作ってしまう。旅行に行っても、プールサイドでのんびりできず、あちこち探検したり、ジムに行ったり動いてしまう。のんびり半日、いや丸一日プールサイドに寝そべって何もしないでいられたら最高なんだけど。難しいなあ。少なくとも本か、このノートは必要だ。要するにimaginationを膨らませて、自分の内的世界を旅したいんだ。自分の声を聴きたい。そうしたら亡くしたものと出会える。

自分の内面と出会う旅。
家に帰れば、子どもたちと、やるべき雑用がたくさん待っている。
職場だって同じだ。多くの人たちと交流し、思いっきりextroversionな世界:それはそれで楽しいのだけど。
海外旅行に行ったら、最果ての地に行きたい。一人で行かなきゃダメだな。でも、ひとりで行ってもさみしさに耐えられず、すぐに社交してしまうかもしれない。
高校時代も同じようなことを考えていたっけ。高3の夏、アメリカ留学から帰国して、単独行で扇沢から白馬岳まで後立山連峰を縦走した。あれは良かったな。今でも印象に残っている。
もし大学受験に失敗したら、ひとり流氷を見に傷心のたびに出かけようと思っていたのだけど、幸か不幸か受かっちゃって、高校山岳部の参考にOBデビューしたんだ。
昨晩はExtrovertではなくintrovertな世界を求めて、ひとりでバーに来たら友達に会っちゃった(嬉し涙)!

今、飯田橋のルノアールに来ている。仕事と仕事の谷間にできた1時間ほどのギャップ。買物や本屋をうろつかず、ひとりカフェでノートに向かっている。こういう時は、ノートPCよりもアナログのノートの方が気持ちがいいな。
僕にとって必要なのは、ひとり、落ち着いて自分と向き合う時間と空間なんだ。
西魔女とも今日、そんな話をした。開業したら、週2日、半日ほどクライエントを入れず、自分だけの時間枠を作るんだ。
オレはエネルギーがすぐに外に向いてしまう。それを部屋の中に閉じ込めて、creativityに向けるんだ。今までの臨床家(セラピスト)としての体験を記載し、書籍として残していく。アイデアや言いたいことはたくさんある。眼前に患者さんや講演会の聴衆がいればいくらでもしゃべれる。でも、ひとりで書けないんだ。外に拡散しようとするエネルギーを閉じ込め、集中力に転換し、執筆に向ける。誰とも会わず、どこにも行かず、オフィスで自分に向かう時間。きっとあまり長くはもたないだろうから、せいぜい4-5時間くらいかな。午前中にクライエントを入れて、また夕方から入れる。その間のサンドイッチの時間を作るんだ。緊張感を維持したまま、孤独で自由な時間を作り出す。

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