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Monday, June 8, 2009

癒しの学会

金・土・日と、家族療法学会で広島に行ってきたよ。
2月と3月の学会出張は、僕が子どもと離れることができず、キャンセルした。
今回は、子どもたちをじじばばに預け、2泊3日、家を空けることができた。

この学会に行き始めて、もう26年になる、僕にとって一番メインの学会。
25年前、一番初めに学会発表したときは、大学院在学中だった。心臓が飛び出すほど、緊張したよ。たった20分の発表だけど、聞いているのは僕より年上の、偉い人ばかり。とちらずちゃんとしゃべれるだろうか、手ごわい質問で立ち往生しないだろうか。2回目からはだいぶ楽になったけど、若い頃の学会発表なんて、子どもの頃のピアノ発表会くらい緊張したよ。懇親会に出たって、偉い先生方が談笑している中、しゃべる相手もなく、緊張のしっぱなしで、何も面白くなかった。

でも、年1回の学会に、毎年参加しているうちに、同じ興味・専門性を持った仲間同士、いつしか自然と知り合いになり、職場も地域も異なり、普段はほとんど会うこともないけど、年1回だけ集まる仲間とだんだん親しくなっていった。

そして25年。毎回参加している常連の研究者たちとは、職場仲間以上に仲良くなり、優子の急逝の知らせも評議員を中心に流れ、お葬式にも多くの人が来てくれたよ。優子も2回ほど国際会議の通訳たのんで、結構学会に貢献したもんね。昼はマジメに最先端の研究を発表し合い、夜は懇親の飲み会。久しぶりに会う仲間と、夜遅くまで親交をを深めた。職場仲間と飲んでも、優子の話題は決して出ないけど、この学会では、昼も、夜も、声をかけてくる人は、自然に優子の喪失を言及してくれるよ。なにしろみんな、心理のプロだからね。触れるべきでない話題にする必要はないんだ。むしろ、積極的に聞き出してくれる。昼は、研究発表も、司会も、コメンテータもしたけど、もう余裕で、この分野で俺より詳しいヤツはいないぞと厚顔でいられるから、大学での普段の授業と同じように、緊張もせず、楽しめる。夜は、飲みながら、優子のことに触れ、仲間たちが共感してくれるよ。

僕にとって、この学会は、若い頃はガチガチ緊張の場。今は、ゆるゆる癒しの場。この違いは何なのだ!

来年3月には、ブエノスアイレスで国際家族療法学会、6月にはデンバーでアメリカ家族療法学会、そして11月には東京でアジア家族療法学会がある。どれも、国内外に親しい人たちがいる。今年のはパスしたからなあ。来年はどうしよう?

ついでに、学会の合間を縫い、宿ちかくにある平和記念館と原爆ドームを見てきたよ。この歳で初めてだったんだ。遠足か、社会科見学の小中学生に交じり、展示自体は、沖縄の平和祈念資料館の方が良かったかな。でも、ところどころに説明してくれるボランティアが立ち、直接語ってくれるのは良かった。被爆3時間後の悲惨な写真の中に居る人を知っている人の語りは迫力があった。涙しながら聞いていたよ。一瞬に14万人が亡くなった、そう昔でもない、まだ歴史にはなりきっていない悲しみと、僕が一瞬に優子ひとりを亡くした悲しみが微妙にシンクロして、ひとり静かに訪ねることができた。

4 comments:

  1. 四半世紀のご専門とお仲間、、、歴史の厚みだわ。
    学生時代の学会誌は購読はしているものの、仕事に直結しているわけでもないので子連れで行ける学会関係主催のイベント(野外教室など)にたまに顔出す程度の私なので、学生時代からの専門を生業とされていること、すごいな~と思います。


    私は素人が自分(をとりまく家族)が抱える問題にどう対応(解釈?)していったらいいのか、ずーっと消化不良で、しかし、自分に無理してそこに無理矢理向き合うのもなんか本末転倒のような気がしていました。私には私の家族がある。

    もやもやと、いろいろ、調べていくうちに、交流分析にとても興味が出ました。何か、自分の頭の中にずっとあるもやもやの整理に役立ちそうな気がしてます。
    とある協会の講座を受けてみようかな。と。

    しかし、大事な土日を40+35時間、自分だけの時間として使うには家族への影響が大きいよなぁ。。。あくまでも趣味の範疇になっちゃうし。

    ただいま葛藤中です~。

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  2. 実は、今日もこれから家族についての講座やるんですよ。
    http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/manabu/gakushuu/kumindaigaku/sishunki/index.html
    参加する人は、それぞれの家族問題を抱えているんですよね。
    そりゃそうだ。問題のない家族なんてありえないもの。

    家族への心理サービス提供側にしてみると、家族カウンセリングのために病院にやってくる人も、こういう講座に参加する人も同じなんですよ。何か問題を抱え、解決策を求めています。でも、病院とかは敷居が高いし、講座だと理論や一般論は学べるんだけど、じゃあ、うちの場合はどうしたらいいのというのが、結局は未消化になってしまいます。その中間みたいなサービスがあったらいいかなと思って。つまり、ある特定の家族の問題について、それに関係する家族・親族2-3人とか5-6人とかに対するオーダーメイドの講座みたいなね。クリニックに集まってもらってもいいし、その家庭まで出張してもいいし。今はあまりやらなくなった、お医者さんの往診、あるいは、レストランのシェフのホームパーティー出張デリバリーみたいなイメージで!!
    きっとやることは、「家族の問題」について、みんなでどうしましょうと解決策を練るみたいに、クリニックでやる家族療法と同じなのだけど、病院の精神科なんて敷居が高いでしょ。「オーダーメイド家族講座」とした方が行きやすいかなと思って。

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  3. 大田区も画期的な講座を企画運営してるんですね~!

    「オーダーメイド家族講座」
    魅力的です。
    ホームドクターの往診と
    レストランのシェフのホームパーティー出張デリバリーが
    同じ土俵で考えられるなんて、素人には目から鱗。

    渦中の者は、その寄り添っていただけることに一番救われるんだと思います。

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  4. 「寄り添う」ってことですよね、大切なのは。
    ひとりひとりに寄り添うのと同時に、家族全体にどうやったら寄り添えるか、結構むずかしいんですよ。いろいろ工夫して考えてみます。

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