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Friday, September 25, 2009

じんの親離れ

 小5のじんは、優子が亡くなる前から、下の部屋で祖父母と一緒に寝ていた。

 小学校に上がる頃、子ども部屋に3人それぞれのベッドを買った。はじめの2-3ヶ月、じんは物珍しさからか、兄・姉と同室で、自分のベッドに寝ていたが、その後は、また両親のベッドにもぐりこんで来た。優子にとっても、冬は湯たんぽ代わりに重宝していて、親も末っ子を離したくないみたいなところがあって、小3くらいまでだったっけ、親と一緒だった。
 小4になり、体も大きくなって、さすがに親と一緒だと恥ずかしいという気持ちが芽生えてきたのだろう、でも、自分ひとりというのも決心がつかなかったのか、その頃から、祖父母の寝室にもぐりこんでいた。祖父母としても、孫と一緒はまんざらでもなく、和室にじんのために布団をもう一枚敷いてくれた。べったりしたくはないけど、離れているのは寂しいのか、お祖父ちゃんっ子のじんは、足の先でもいいから祖父と身体の一部がくっついていたいらしい。
 そんな頃、優子が亡くなった。普段ポーカーフェースのじんが、寝室に寝ているママちゃんに向かって、「ねえ、生き返ってよう!!」と号泣していたくらいだから、普段、表に出さなくても、10歳になったばかり、ようやく親離れが始まったじんにとって、とてつもない喪失だったに違いない。
 でも、その痛みを乗り越えられたのも、祖父母の存在が大きかったと思う。母の死後、中3だったちゅけは、そのまま自分のベッドで寝ていた。小6だった祐馬は、2週間くらいは自分一人では寝れずにパパのところに来たり、お友だちに来てもらったりしていた。
 じんは、ママが亡くなる前と同様に、祖父母と一緒に寝ていた。少なくとも、一番さみしくなる就寝時には、安定した愛着が提供されていた。心配していた不安症状や行動異常もなく、子どもたちにとっての最大の対象喪失もなんとか乗り切れた。
 その後も、じんは祖父母の寝室に寝ていた。どこで、誰と寝るかは、じんの好きにさせておいた。おかげで生活リズムも祖父母と同じ早寝・早起きがすっかり身についた。
 ところが、一週間ほど前から、特に何のきっかけもなく、
「オレ、もうそろそろ一人で寝ようかな!」と自分から言い出した。
「ああ、いいよ。」
連休中に、荷物置き場になっていたじんのベッドを整理して、使えるようにした。すると、自分だけのスペースを気に入ったようで、自然に自分のベッドに移行していった。
 祖父母がいなかったら、こうスムーズには移行しなかっただろう。祖父母が見事に移行対象(transitional object)の役割を果たしてくれた。

 急ぐことはない。ゆっくり、しっかりと成長してくれればいい。

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