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Wednesday, November 2, 2011

妻を亡くしたおかげで、、、

 先生には真っ先にご連絡すべきのところ、遅くなり、大変失礼いたしました。
大学は申し分ない職場でした。学科はこじんまりちょうど良いサイズで、細かい点ではいろいろあるのはどこでも同じですが、研究も授業も自由にさせてもらいました。
研究室の学生たちと親しく人生経験を伝授し、教師を目指す大勢の学生たちに知識を伝えていくのもやりがいがあるのですが、私がこだわり、一番の専門性を発揮できるのは、精神科医の専門性、とくに思春期、家族、男性性などの分野です。大学で多くの人々でなくとも、少数の本当に必要としている人への支援活動が、私の本当にやりたいこと、という気持ちはかなり以前から抱いていました。妻を亡くす二ヶ月ほど前にも、二人で開業フェア、これから開業しようとする医師への支援企業のPR展示会へ行き、そろそろ具体的に考えようかという時期でした。しかし特に不満のない安定した職場に区切りをつける積極的な理由もありませんでした。
妻を亡くし、喪失に対する耐性が出来てしまいました。もう、失うものは何もない(子どもたち以外は) 。本当に得たいものを素直に求めることにしました。
都内では自由診療で開業している精神科医もちらほら見聞きしますが、果たして経営的に成り立つのか、確信しているわけではありません。しかし、躊躇する理由もなくなりました。じっくり時間をかけて丁寧にお話を伺い、それほど多くの方々とは関われないかもしれませんが、クライエントにとっても、セラピストにとっても納得できる仕事をしたいと思っています。

 宛名まで全部手書きのお手紙は、どなたからもこの何年も目にしたことはありませんでした。先生のお気持ちが伝わってくる思いでした。
 外の人々の多くは、どうして安定した職に見切りをつけられたのかと思うでしょうが、お手紙を読んで、それは亡き奥さまのお気持ちでもあり、それを引き継がれた思いで決断さえたのだと思いました。改めて、優子奥さまのご冥福をお祈りしております。

な~んちゃってね!
要するにオレのidentity(自分を表すコトバ)になっちゃったんだ。

Q1) 私は誰でしょう?
ハイ、私は3年前に妻を亡くした人間です!

Q2) 「私は、、、」で始まる文章を20個作りなさい(SCT)。
・私は男です。
・私は50代です。
・私は日本人です。
・私は精神科医です。
・私は開業しました。
・私は3人の子どもがいます。
。。。
・私は、妻を亡くしました。

Q3) ねえ、Tikiさんってどんな人だっけ?
ほら、いたじゃない!しばらく前に奥さんが亡くなって、、、
ああ、あの人ね。思い出した!

オレがやることなすこと、「妻を亡くした、、、」という枕詞がくっつくわけ。
もちろん、普段はそんなこと言わないよ。でもちょっと深く掘り下げればそうなっちゃうんだ。
大学を辞めて開業した理由だっていろいろあるんだけど、一応「妻を亡くして、、、」と結んでおけば、なんとなく落ち着くというか、納得されちゃうわけ。便利だよね、これって!
うまくいっても、失敗しても、「妻を亡くしたおかげで、、、」なんてね。
いい加減なもんだよ。

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解説)そろそろ「妻を亡くした自分」から脱皮したいと思い始めたようです。

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