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Wednesday, May 19, 2010

"You did a good job!" そんな一言が通訳の喜び

(仕事のあらまし)難しくも面白い「同時通訳」
フリーランスの通訳者である優子さんは、最大手の通訳会社に登録し、さまざまな会議や打ち合わせ、レセプション、交渉、取材、調査などにおける通訳を受託している。依頼主は官公庁や自治体、企業、学校など多彩。まれに個人から披露宴のスピーチの通訳を依頼されることもある。
通訳の方法は、話をある程度のまとまりで区切って訳す「逐語通訳」と、同時に訳す「同時通訳」に分かれる。
 「逐語に場合は、話の意味を想像して訳す時間的余裕がありますが、同時の場合はそれができないスピードで進むので結構むずかしいですね。だからこそ面白いということもありますが、同時の場合は、話の流れをなるべく経ち切らないようにするのが大事です」と優子さんは言う。

(この仕事に就いた動機)専門的に学び面白さに目覚める
アメリカで小学校1年生から4年生までの3年半、そして20代半ばにイギリスで3年間を過ごした優子さんは、帰国後、労働関係の国際機関に勤めていた。そこで、英会話が得意である事から、海外から来客があった際によく通訳を頼まれていたという。
「英語が話せるので、当初は気軽に引き受けていたのですが、やってみるとなかなか難しい。お客様を連れて行った先で通訳をするのですが、相手はプロの通訳だと思っていろいろ話せるので、こちらは詰まってしまったり。また、別の時に上司から『通訳がなかなか上手だね』とほめてもらったこともあり、もう少しきちんと勉強しようと、仕事を続けながら1年半ほど通訳者を養成する学校に通ったのです。そこで勉強するうちに面白さに目覚めていきました」
勤務先には仕事時間を選べる制度があり、当時出産後ということもあって、所定労働時間の5割や8割の勤務時間を選択。その学校を修了後、勤務していない時間を活用して、通訳・翻訳を手掛ける、学校のグループ会社から通訳の仕事を受託するようになり、「二束のわらじ」を履く生活となった。
「いきなりフリーになるのは相当怖かったので、ソフトランディングできてよかったと思います。そうやって少しずつステップアップしていくうちに、迷いながらも通訳の仕事にシフトしたいと思うようになり、15年間勤めた国際機関を退職することにしました」

(これまでに体験した転機)独立と「意識の節目」
「国際機関を退職し、独立した時が一つの転機でした」という優子さん。もう一つ、「意識の節目」といった転機を感じる時もあったという。
「帰国子女なので、英語が多少人より得意なのは当たり前で、逆にそのことに引け目を感じることもありました。他の人は努力して勉強しているのに、自分は下駄を履かせてもらっているみたいで。そこを認めたくない自分がいたのですが、ある時、そこは自分の長所と認めて、そこから高めていけばいいんじゃないかと思い直すことができたのです。そこから次につながって行きましたね」

(仕事で大切にしていること)つくり上げる過程にかかわること
通訳の成果を認められ、"You did a good job"とか「あなたのおかげで話し合いがうまくいったよ」などと言ってもらえる時は喜びを感じる。そんな優子さんは、「プロジェクトなどに詰めて、何かを作り上げていく過程にかかわることが好き」という。
「通訳と言う重要な役割を持って参加できている感覚が、やりがいにつながっていると思います」
その反面、「あがってしまって相手の言ったことを十分に訳せなかったり、相手の言っていることと、自分の話していることにズレを感じたまま、通訳を続けなければならない状況に陥った時は苦しい」という。懇親会の時は、話題が広範囲に及んで詰まってしまうことも。「まわりの人が『どうしたんだ』といった感じになって、恥ずかしい思いをしたこともあります」
だからこそ、普段から英語放送のニュースを聴いたり、外国映画を見たり、「オーディオブック」をインターネットで購入してiPodで聴くといった努力を続けている。
通訳になりたいという中高生に対しては、「語学力の向上に努めるだけでなく、いろいろなことに興味を持って、見たり聞いたり読んだりという経験を積み重ねてほしい。それが自分の肥やしになる」とエールを送る。

(子どもたちへ)好きなことを突き詰めて仕事に
「自分の興味がどういう方面にあるのかというところから考え始めてほしい」と優子さん。そこを意識することから、徐々に興味の対象が広がり、また深まるからだ。
「それが、ひいては仕事につながっていくと思います」
また、優子さんは「仕事はやはり生活の中心にあると思う」と言う。そして、「今の日本には、仕事で潰されてしまっている人が多い。そんな大人を見て育った中高生は、仕事に対して夢を持てなくなっているのでは」と懸念する。
「本当はそうじゃないことをわかってほしい。仕事はきつくて大変で、生活の手段でしかないという考えもあるけれども、仕事を通じて得られるものは深くて豊かなものがある。そう気づいてほしいですね」
(2008.4.4)
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中高生向けのキャリアに関する本を作成しようと、様々な職業の方のインタビューを07年~09年にかけて行ないました。キャリア形成の考え方、親と子のコミュニケーションガイドなど含め、やっとこの夏に出版できる運びになりました。ICレコーダーに収録し、その「テープ起こし」から、プロのライターが原稿を書ました。 
 初校の確認を依頼したのですが、「お亡くなりになりました」とのこと。もし可能ならダンナさまの了承を得て掲載したいと考えています。もちろん、お亡くなりになった、ということは注として入れさせて頂きます。

もちろん!
私の知らなかった優子が甦ってきます。
子どもたちにとっても、とてもよい記念になります。
出版社の方、原稿をブログに載せるのは著作権に抵触すると思うので、問題あったら言ってください。ひっこめますから。

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