おぅ、オヤジ。オレやっぱ国立やめようかと思うんだ、、、
ふだん、勉強や受験のことパパが聞いても何も言わずうるさがっているじんが、めずらしく神妙な顔をして、椅子に座って、突然言い出した。
おっ、来たか!
パパもテレビを消してじんに向き合った。
おう。どうしたんだ?
いや、もう科目が多すぎて、さすがに追いつかないんだ。
ああ、そうか。ぜんぜん構わないぞ。祐馬だって私立なんだし。お金のことは気にするな!
済まない、、、
じんの尊敬する兄貴は公立高校から国立大に行った。
じんがケンカばかりしていた(今はもうやらないか?)姉貴は公立高校から外国の大学に行っちゃった。
パパもママも公立高校だった。
じんも行きたかったよな。でも公立高落ちちゃって、私立校へ。
そのリベンジで国立大に行きたかったんだろ。今まで公立大に行くんだと頑張っていたもんな。それがじんのプライドだったんだ。じんはひとりでよく勉強しているよ。パパが何か言うとうるさがって「オヤジは何も知らないだろ!」としか言わないけど、パパはそう思っている。
そう。目標を高く掲げて頑張るんだ。それは正しいことだ。
東大を目指せ! 甲子園を目指せ! 金メダルを取るんだ!
くじけるな! 困難に立ち向かえ! 最後までやり通せ!
でも、行き詰り、にっちもさっちも行かなくなるときだってある。
この時期、言い出すのは、センター試験の科目選定があったからなのか、先生に何か言われたのか、そこまではじんも言わないからわかんないけど。
それで良いんだよ。
目標を下げることは敗北ではない。むしろ勝利なんだ。
プライドを捨てず、無理とわかっていても、当初の目標に突っ走るって、なんか強いように見えるけど、実は現実を見るのが怖くて否認しているからなんだ。
現実を受け入れ、今まで自分を支えてきたプライドを再調整するって方がよっぽど難しいし、それを自分で受け入れるってのは、実は強いことなんだよ。
おやじに金を使わせたくない。
それがおまえのプライドなんだろ!?
パパがそれくらいの金は持っていることはじんも知っているだろ。
金があるないの問題ではなくて、じんは親がかりが嫌なんだよな。自立したいんだよな。
今の段階で国立を視野から外し、受験科目を減らして集中するのは賢明な策じゃないか。
その線でがんばりなさい。自分で行きたい大学を選び、ベストを尽くしてごらん!
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