優子の突然の逝去を悼み墓前に捧ぐ
鍾次郎
子らが集い元旦祝いし翌々日旅先からの思わぬ悲報
「ママが大変」孫娘からの携帯に不安いやまし時のながきよ
夫と共に滑り下りしゲレンデで倒れし君は再び立たずと
病持つ身にしあれども活発に挑戦し続けし義娘(むすめ)痛まし
小・中の子三人を残し汝(なれ)なぜかくも疾く逝きたまいしぞ
夢なるか現(うつつ)なるかの八日経てそもじの骨片末孫と拾う
その刹那みるみる四囲の薄暗く変わり果てたり娘の逝きし報に
念入りに化粧を受けて美わしき汝は声なく家を去りゆく
黒き服の人影次々花を捧ぐ夢幻(ゆめまぼろし)か娘の通夜に坐し
逝きし娘の三十余年の旧き友「うそでしょう」と短歌誌に寄す
「ブース内必死に同時通訳を」友は弔辞で思い出語る
子のブログ妻への思い綿々と反省こめて日々続きゆく
犬を飼う孫の願いで家族会議キーパーソンの今はなきまま
夕食を世話せんとする祖母なれど遠慮がちなる父とのギャップ
早朝に訪いくる息と一日の打合せする日課となりぬ
年老いて購いおきし墓所なるに若き君なぜ先に入りしや
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